下肢静脈瘤には種類があり、コブや血管が浮き出る伏在静脈瘤と側枝静脈瘤のほか、細い赤や青の血管が皮膚のすぐ下に見える網目状静脈瘤とくもの巣状静脈瘤があります。網目状静脈瘤とくもの巣状静脈瘤の場合、手術は必要とされません。日帰り手術も可能で、負担の少ない下肢静脈瘤の手術。手術の種類と内容をご紹介します。
下肢静脈瘤は軽症の場合、ほとんど治療を必要としないケースが多いものです。
生活習慣の改善に努める、弾性ストッキングをはいて対処するなどの保存的治療で下肢静脈瘤と上手に付き合っていけます。手術より気軽に受けられる血管内治療もあります。血管内治療は局所麻酔をして短時間で終わるので、静脈瘤のケースによっては手術より血管内治療が合っていることもあります。しかし、伏在静脈瘤でコブがかなり大きくなって気になる場合や不快な症状が続いて日常生活に支障のある人は手術という選択もできるかと思います。日帰り手術を行っている病院が多いので、仕事を休む日数や心理的負担は少ないと思われます。
下肢静脈瘤で手術が必要となるケースがあるのは伏在静脈瘤と側枝静脈瘤です。
手術の種類には高位結紮術とストリッピング手術があります。高位結紮術のメリットは短時間で処置が終わること、体への負担が少ないことです。デメリットとしては再発しやすいことです。
ストリッピング手術のメリットは大きな静脈瘤にも対応できること、再発率が低いことです。デメリットとしては、全身麻酔だと入院が必要となること、他の治療法より痛みやしびれなど後遺症のリスクがあることです。
高位結紮術とストリッピング手術、どちらも日帰り手術を行っている病院があります。日帰り手術を希望する場合は、あらかじめ調べてから行くといいでしょう。
高位結紮術は足のつけ根の静脈を糸でしばって血液の逆流を止める手術です。
局所麻酔で行い、切開は数センチ程度で、数十分で終わる日帰り手術です。静脈瘤は時間をかけて小さくなっていきます。高位結紮術のみだと再発の可能性が高い場合もあるので、硬化療法と併用して治療を行うこともあります。高位結紮術は、以前は多く行われていましたが、最近では新しい治療法が出てきていることから、日帰り手術などでもこの方法を実施しなくなってきているところもあるようです。
ストリッピング手術は昔から長年行われてきたものなので安定した治療が期待できます。
ストリッピング手術では弁が壊れてしまった静脈を切除して取り除きます。血管の中にストリッパーという器具を挿入し、血管を固定して取り除きます。大きな静脈瘤を取り除くことができる反面、術後に痛みやしびれがあったり低い可能性ではあるものの、再発が懸念されることがあります。
これまで全身麻酔や下半身麻酔により行われ、ストリッピング手術をすると数日は入院が必要でしたが、現在では局所麻酔による日帰り手術を行う病院が多くなりました。血管の状態によっては血管内治療が合わない人もいます。その場合はストリッピング手術が有効となります。
このページでは下肢静脈瘤の手術について説明してきました。
下肢静脈瘤の症状や状態によっては、手術ではなく硬化療法や血管内治療の方が有効になることもあります。手術になった場合でも、下肢静脈瘤の手術は日帰り手術で体への負担もそれほど大きくはないので、必要以上に不安になることはありません。いずれにしても医師とよく相談の上、症状に合った適切な治療方法や手術方法で現在の不快な症状を緩和することが一番大切です。